熊本県芸術功労者顕彰趣意書
地方文化というものは日本文化を支える大きな土台であるが、近年まで殆ど放置されていたも同然だった。それにもかかわらずユニークな地方文化が存続し得たというのは、様々の困難の中にあって、それぞれの芸術分野で黙々と精進を続け、或いは師伝をうけ、或いは自ら開拓し、そして自力で後進を育成してきた人々が居たからだと思う。近頃、文化施設ができたり、助成金が出たりするようになったが、これまでのことを思うと、これから、先輩たちの苦難と業績を忘れることはできない。
そこで、今年県文化懇話会が創立10周年を迎えたのを記念し、その大会において、芸術の専門分野で80歳を越し、今日も尚、仕事を続けている人々の中から選び、永年の苦労をねぎらい顕彰状と記念品をおくり、名誉会員として推戴し、感謝の微意を表すことにした。
(昭和48年5月起草)